紅茶といえば、かつてはイギリスやインド、スリランカなど、海外の文化を象徴する飲み物でした。しかしここ数年、日本各地で育てられた「和紅茶(わこうちゃ)」が静かにブームとなりつつあります。
「日本の紅茶って何が特別なの?」「どうして人気が出てきたの?」と気になっている方へ、この記事では和紅茶が今注目されている理由や背景、そして今後の広がりの可能性についてお伝えします。
結論:和紅茶は “やさしさ” に共感する現代人に選ばれている
和紅茶が人気を集めている理由は一言でいえば、「やさしさ」と「共感」。大量生産された紅茶にはない、作り手の思い、地域のストーリー、そして自然な甘みと渋みの少なさに、現代の私たちは安心感を覚えます。
単なる「飲み物」としての紅茶ではなく、「暮らしの中で丁寧に味わいたいひとときの存在」として、和紅茶が選ばれるようになってきているのです。
和紅茶人気の背景|5つのキーワードで解説
① 「渋くない紅茶」へのニーズ
従来の海外紅茶は、しっかりとした渋みや香りが特徴。その一方で、カフェインが気になる方や、妊娠中の女性、小さなお子さんと一緒に飲みたい方など、「もう少しやさしい味わいの紅茶が欲しい」という声も多くありました。
和紅茶はまさに、そうしたニーズに応える紅茶。緑茶用品種から作られるため渋みが少なく、ノンシュガーでも自然な甘みが感じられるのが魅力です。
② サードウェーブティー・和紅茶専門店の増加
コーヒーで「サードウェーブ」が注目されたように、紅茶の世界でも「ストーリーや作り手」を重視する潮流が生まれています。
最近では、京都・鎌倉・福岡などを中心に、和紅茶専門のティースタンドやカフェ、通販サイトが増え、「全国の和紅茶を飲み比べできるセット」なども登場しています。
見た目のおしゃれさだけでなく、「日本の土地と水と人でつくられたお茶」を求める若い世代に特に支持されています。
③ SDGs・地域活性化への関心の高まり
和紅茶は、地方の耕作放棄地の再生や、小規模農家の新たな収益源として注目される存在でもあります。
特に、緑茶産地だった地域で紅茶に転作した例(静岡・鹿児島・岡山など)は多く、地元産業の復活や、若い担い手の育成とも結びついています。
お茶を飲むという行為自体が、「地域とつながる」行動になる。そんな新しい価値観が、ブームの底にあるのです。
④ SNSでの共感・ストーリー消費
InstagramやYouTubeでは「#和紅茶」「#日本の紅茶」などのタグで、和紅茶の紹介や開封レビュー、淹れる時間の楽しさがシェアされています。
作り手の名前や想いが見える商品ほど共感が得られやすく、「〇〇さんの紅茶を飲みたい」「この茶園に行ってみたい」といった声が、購買につながる時代です。
⑤ コロナ禍で変化した“おうち時間”の質
外食や外出が制限されたコロナ禍以降、家での飲み物にこだわる人が増えました。コーヒーやワインと同様に、「紅茶もこだわりたい」「自分に合った味を探したい」という動きが強まりました。
ティーバッグだけでなく、リーフタイプの和紅茶や、茶器にこだわる人も増えています。
体験エピソード:おみやげだった高梁紅茶、日常に寄り添う一杯に
これまで私は、紅茶といえば「特別な時に飲むもの」「ちょっとすました飲み物」というイメージを持っていました。旅先で買ってきたセイロンティーや、もらいもののイングリッシュブレックファーストを飲んで、「うーん、ちょっと渋いな」と思うことも。
そんな中、あるご縁でいただいたのが「高梁紅茶」。以前はおみやげとして渡すばかりで、自分で飲んだことはありませんでした。実際に淹れてみると、香りのやさしさ、口あたりのまろやかさに驚き、気づけばその日から、私の“日常茶”になっていきました。
地域とつながるきっかけが、「お茶」というのは、なんだか不思議だけれど、すごく自然なことだった気がしています。
和紅茶のこれから|もっと広がる“暮らしに寄り添う紅茶”
これからの和紅茶は、単なる「国産紅茶」ではなく、「暮らしと人をつなぐ紅茶」として、より存在感を増していくでしょう。
- 観光地でのご当地紅茶
- ギフト・内祝い・お中元など贈り物文化との接続
- カフェインレス加工や発酵アレンジの進化
- 地域ブランディングの柱としての役割
その未来の中で、和紅茶を選び、楽しむ私たち一人ひとりが、小さな“つながり”を広げていくことになるのかもしれません。
まとめ:和紅茶のブームは、私たちの「暮らしの価値観」が変わった証
和紅茶が人気になっているのは、単なるトレンドではありません。私たちの「丁寧に生きたい」「心を落ち着けたい」「地元や人とのつながりを大事にしたい」という価値観の変化と、しっかり結びついています。
もしまだ和紅茶を試したことがないなら、ぜひ一杯から始めてみてください。
それはきっと、あなたの暮らしを少しだけやさしくする一杯になるはずです。
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